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emily231

2014年07月14日

まるで水の境い目がない

川が好きだ。
どこの川も、遠くから見ると同じ姿をしている。ぼくの中の記憶の川とかさなる。だから懐かしい。ぼくにとって川はふるさとだ史雲遜
だが、ブナや白樺の林をぬって流れる北国の川は、すこし他人の顔をしている。それでも、川に変わりはない。人見知りするほどの小さな距離はあるが、それだけにいっそう近づきたい欲求にかられる。
そんな川のひとつが奥入瀬渓流だった。長いあいだ憧れていた川に、いまやっとたどり着いた。

冷たく軟らかい水の姿態に触れた。
木々の根を洗い、花々をしぶきで揺らし、岩また岩に砕けながら、大きな生き物のようにうごめいて流れる川があった。激しい水の流れは、飛び散って無数の光となって輝いている。
あたりを鬱蒼と覆うもの。名前も知らない、知らないから雑多な、木々の葉っぱが、狭い渓谷の空を埋め尽くしている。谷の底は、大きなシダの葉っぱや、シダと呼べるような草の葉っぱが、幾重にもかさなって繁茂している。十分に雨が浸透し、川も谷も道も空気も、まるで水の境い目がない史雲遜


この川には、ひとつの伝説があった。
水際に岩屋があった。土地の方言でケドと呼ぶらしい。ここをすみかとした美女の盗賊がいたという。旅の男が現れると先回りして行き倒れを装い、介抱してくれた男の隙をみて短刀で刺し殺す。また男の背を借りて川をわたり、流れの中ほどにくると短刀で男を刺し殺したという。
ケドの入口に、いまは霧のような白い花が咲き乱れている。その妖しい美しさは、岩の陰から現れた鬼神のお松の、化身かもしれないalexander hera價錢

いたるところに切り立った崖があり、いく筋もの滝が落ちている。渓流沿いの道は、かつては鬼神が出るような旅の難所だったのかもしれない。
奥入瀬渓流の流れは、十和田湖の水が溢れ出たものである、と初めて知った。
静かな湖の水は、渓流となって姿を変える。深い湖の底に隠していたものを、いっきに吐き出して生き返ったようだった。その饒舌な水の旅は、70キロ先の太平洋まで続くという。
なかなか光の海にたどりつけない、ぼくの旅は先が長いalexander hera價錢

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Posted by emily231 at 19:06│Comments(0)心情随笔
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